第9話《まめちびをあおってみた》

ここは山と海に挟まれた、とある田舎町。
町の中心から続く県道をしばらく走り、トンネルを抜けた先の小さな住宅街の一角。
地域の人に”イヤシロチ”としてこよなく愛されている鍼灸院がある。
その名も『鍼Go!堂』
ここで働いているのはたったの2人。
どこか抜けているが患者の信頼は厚いGo院長と、立派な鍼灸師を目指す弟子2年目のまめちびだ。
おや?今日もなにやら会話が聞こえてきましたよ?
早速聞き耳を立ててみましょう。

まめ: 先生は昨日、時代も医療も大きく変化しているって話しましたけど、世の中みててもあまりそうは感じません。
それを感じるヒントはありますか?

Go: それは心配しなくても少しずつわかってくる。
これからの医療は、より全体性でより自然なものに変化していく。
そして患者が医療に頼ることが少なくなってくる。

まめ: 頼ることが少なくなってくるってどういうことですか?

Go: 仕組みが分かってくると、ある程度自分でメンテナンスできたり、病気に囚われなくなってきたり、そもそも病気になりにくくなってくる。
現代医療は今転換期にいるんだ。
同時に今までの病気の概念も変わる時期にきている。
まめちびは健康かい?

まめ: はあ、まあ。

Go: ほんと?

まめ: はい。

Go: ほんま?

まめ: ほんまやで(めんどくさ)

Go: それはどうかな。

まめ: は?

Go: 実はまめちびは…

まめ: あ!もしかして先生!昨日風邪引いた時脈診してもらいましたけど…まさか⁉︎
私重病ですか⁉︎死ぬんですか⁉︎

Go: 取り乱すでない 信ずれば救われる 祈りなさい アーメン。

まめ: 新興宗教でも始めたんですか?

Go: まあ聞きなさい。
そもそも人はみんな生まれつき病気みたいなもんだよ。

まめ: そんなことは絶対ありません。神に誓って。
私のお母さんは更年期過ぎてから一気に色んな症状出てきたし、お父さんは糖尿病だけど50超えてからですよ。

Go: よしわかった、それなら聞こう。
何をもって健康と言うのかい?

まめ: そりゃ病院で検査に何も引っかからなくて、なにも症状がない状態?

Go: 何を証拠に病気というのかい?

まめ: そりゃ例えば、お父さんの場合は血糖値が高いからでしょ。
叔母さんはリウマチの数値出てるし、あとは…そうそう友達は今座骨神経痛で苦しんでる。明らかにこの人たちの体は病気でしょ?

Go: 病気なんかじゃない!

まめ: げっ…さっき生まれつき病気って…このおっさん絡みづらいわぁ…ボソッ

Go: 人はなぜ皆病気になると思う?

まめ: はあ?何故って人それぞれですよ。不摂生とか過労とか感染したとか…そりゃ原因は無数にあるでしょ?

Go: 原因が解明されている病気があるのか?どこに?

まめ: バカにしないで下さいよー。
確かに原因不明の病気が沢山あるのは知ってますよ。
でもさすがに一つもないなんてことはありえないです。これでも学生の頃現代医学結構勉強してきましたし、成績はクラスで5番でした。

Go: 何人中?

まめ: 8人

Go: むしろちょっと出来が悪い方やないかい…
まあいいわ、病気の原因を見つけ出せるのなら、勉強不足のおれに教えて欲しい。

まめ: わたし絶対自信があります。覚悟してくださいよー。
それに原因がわからないなんて言ったら病院すら存在もできないじゃないですか!

Go: 本当だよね、でももう一つ残念なお知らせがある。

まめ: え!なんですか?

Go: 医療で治せる病気はない。

まめ: だから鍼灸は良いって言いたいんですか?

Go: いや、無論鍼灸やその他の代替医療すべて含んでいる。

まめ: そんなの嘘です。

Go: でもそれが事実だとしたら?

まめ: そりゃもう絶望です!
しかも鍼灸も含むって!
それなら私たちのやってることも意味がないじゃないですか⁉︎
先生が変なこと言うから頭痛がしてきました。
もう私が病気になりそうですよ…

Go: やーい、やーい病気になった~わーい( ´ ▽ ` )ノ

まめ: …
先生が原因で病気になったので帰ります。

Go: あ、掃除は?

まめ: お疲れ様でーす。
ピシャ!

Go: あいつほんとに打てば響いてくれるやつだな。おもろいわー
次はどうあおってやるか、ウヒヒヒ…

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