第12話《人は知ることなんて出来ない》

〜・〜・〜・〜・前回の続き〜・〜・〜・〜・

今朝怒りのあまり我を忘れ言葉も忘れてしまったまめちびであったが、やっと落ち着きを取り戻した。
午後の診療が終わり、二人は片付けを始めた。

Go: お疲れ様、腹減ったーラッスンゴレライスでも食べに行くか。

まめ: そんな食べ物ないですよ。レッツナシゴレンみたいに言わないで下さい。

Go: ブフッ なんだよレッツナシゴレンって! くそ!不覚にも笑ってしまったぜ。

まめ: 先生、落ち着きは取り戻してきたけど、納得はいってませんよ。

Go: え?納豆風呂入ってませんよ?

まめ: フガッ!

Go: どうどう、わかったってば。んじゃまず、一旦原因を見つけてくれたものは傍においといてだ。
治療家は頑張って原因を探そうとするけど、大体的外れだ。

まめ: 先生同業の友達いないでしょ?

Go: 見くびるな、ちゃんと同業者以外にもいないわ。

……

Go: 今日言いたかったことはそういう事じゃない。最先端の現代医学を持ってしても、原因を見つけられないと言うことでもない。
鍼灸師だって同じさ、視点が現代医学とは全く違うと言うことはあるにせよ。

まめ: では何を言いたかったと?

Go: 原因探しの旅は、自分探しの旅と似ている。

まめ: また先生訳のわかんないこと言ってますね、だから友達いないんですね?

Go: あ、だからか!
っておい!今日の毒舌ぶりは中々…悪くないね。

まめ: それはいいから、もうちょっと分かりやすく言って下さいよ。
本当はその辺の答えわかってるのにもったいぶってさ〜
今か今かと待ってるんですけど、訳のわかんないことばっかり言って全然進まない。

Go: せっかちだな。

まめ: ええ、予定日より2週間早く生まれてきたくらいですからね。

Go: それ前聞いたよ。
残念なことに答えがない。

まめ: へ?
でもわかってますよ、先生のことだから原因はわからないって言う話もしたけど、何かを持ってるんでしょ?
早く出してくださいよ。

Go: おれも随分頑張って勉強したが、全くもって原因を突き止めることが出来なかった。

まめ: え?それじゃなんのためにこれまで話をしてきたんですか?

Go: それもよくわからないのである。

まめ: ってことは今日が最終回ですね?

Go: それはダメだ!本にして小銭を稼ぐまではもうちょっと引き延ばす!

まめ: 先生、前にも言いましたけど、いい加減生き方考え直したほうがいいですよ。

Go: 自然農法の福岡正信さんがこう言ってる。

“わからないから勉強するのではない。
勉強してわかるのではない。
人間は知ることが出来ない、わからないものである、という事を知るために勉強するのだ。
人間がものを分別して、知ってわかった、と思う「わかる」は知識に過ぎず、知識が増えると疑問が増えて、もっとわからなくなるだけである。”

どういうことかわかるか?

まめ: わかりました。
先生はオチのない推理小説のようなものを書くつもりですね。

それを序盤で"犯人はわかりません"と注釈を入れたようなもんだね。
残念ながら売れませんよ、そんな本。

Go: いや確かに。
でもな、おれは福岡さんのいうことがすごくわかるんだ。
思考レベルの"わかる"は実は所詮"わかった振り"なんだよ。

まめ: 先生ネタが煮詰まったからって最終回フラグですか?

Go: やだやだ!終わらないもん!

まめ: やめておっさん

Go: まだおれは福岡さんの言葉の話をしたいんだよ!
この世は陰と陽のリズム。
男は女を求め、女は男を求める。
幸せを知るために不幸せを経験する、不幸せを知るために幸せを経験する。
必ずこの二元性の世界で生きる人間は、対極を求めるんだ。

対極を経験して、両極性(一元性)に向かうために生きていると言ってもいい世界。
思考ってのはまさに二元性の表れだよね。
表層の思考とその対極にある無意識どちらも必要なんだ。
福岡さんの言う、わからないことを知るために勉強するってのはそういうことだ。
思考して思考して思考してこそ、対極の意識の水面下の部分を知ることもある。
ただ、思考に囚われてしまったら、福岡さんの言うように、知識が増えると疑問が増えるだけでもっとわからなくなる。
福岡さん自身も、思考を散々使ってきた。
理論を散々勉強して、そして実践してきた上で、だんだんとシンプルな自然農法を確立していったのだ。

まめ: なるほど、その説明聞いたらわかりました。

Go: 本当にわかった?

まめ: いや、無論わかった振りです。

Go: よし、よく理解してるぞ。

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