ホリスティック医学#1【はじめに】

はじめに

鍼灸を受ける患者様の中には、東洋医学に興味のある方も非常に多いのですが、独学で本などを読んでも雲をつかむような話ばかりなので、独学で理解することは正直不可能に近いことが現実だと思います。
物理的な概念を超えた世界を理解するには、物理次元の言葉という概念で表現するには非常に難しいことだからです。
というわけで、私が勉強してきたことを少しでもわかりやすくまとめてアウトプットしよう、という企画です。
中医学の話が中心となりますが、あえてホリスティック医学としたのは意味があります。それも次回以降に説明したいと思います。

東洋医学の真髄

さて、一般的に東洋医学という言葉がみなさん馴染み深いと思いますが、アジアの伝統医学を総称する言い方であり、私たち鍼灸師が主に扱うのは中医学です。中国で発展した伝統医学と言うことです。
タイトルにあります『ホリスティック医学』に関して詳細は後に記事にしますが、準備中なので少々お待ちください。

中医学における人体の基本概念は、自然界、そして宇宙の中の一部としての人体、という見方をします。
太陽や月を始め、様々な惑星の位置などが、地球だけでなく人体に影響します。季節や時間や住んでいる土地も人体に影響し、自然や宇宙の法則がそのまま人体に当てはまるのです。
とにかく『人体は自然の中の一部である』ということがこれから話す全てのことの前提になりますので、当たり前と言えば当たり前ですが覚えておいてください。

鍼灸師のやっていることは、こういった壮大な思想の下で培われた知識が大元にあります。
現代の多くの鍼灸は、例えば腰痛や肩こりに対し患部に鍼をし、ときに電気を流す、と言った患部治療が流行っているので、患者側もそのような現代流行りの鍼灸(西洋医学的な、つまり筋肉、骨、神経などにアプローチする鍼灸)のイメージを持たれている方が多いようですが、本来はもっと深淵な領域があります。
私も含めて現代の鍼灸治療の多くは、昔の偉人たちの偉大な教えを、ほんの少ししか受け取り使えていないのが現状だと感じます。私もまだまだ勉強不足を日々実感しています。

話を戻しますが、患部のみの治療よりも、どの症状においても東洋医学的(後に記事にするホリスティック的視点)視点から全体を見ていく方が、私としてはよく効くことを実感しています。
私はその場で痛みを取るのはそこまで上手ではありません。他に上手な先生は大勢いらっしゃると思います。
ただ私がやりたいのは、その人が頻繁に出ていた腰痛を今後発症しないように、体をより良い状態にしていくことです。さらにいうとその人が腰痛から様々な気づきを得て、より人生となるようにしたい、という高い目的の上で治療しています。
実はこれがまさに東洋医学の真髄の部分です。…と他の人が言っているのはあまり聞いたことがありませんが、私は常にそう意図して治療にあたっています。

中医学的診断

病名は現代主流の医療である西洋医学により付けられたものです。
医師が診断した病気の名前は確かに重要になりますが、鍼灸治療において病名に左右されすぎずしっかりと中医学的な診断をしなければなりません。
中医学家、特にそれを学んだ鍼灸師が何を見ているのか、というところから少し説明してみましょう。

『問診』では、症状や既往歴などに関わる詳細な情報や詳細な身体所見の他、日々の飲食や仕事、日常のことを始め、様々なお話を聞いていくと心身の奥の声が聞こえてきます。
このように人の全体像(体だけでなく人生そのもの含む)を俯瞰でみることを、東洋医学的には「神(シン)を診る」などといいます。
これは難しい話ではなく、私たちが「この人とは気が合うな、気が合わないな」とか、一緒の空間にいて「居心地がいいな、よくないな」と思う時、それは神の一部をみていることになります。
神をしっかり診ることが、治療の真理であると言っても過言ではありません。
その人の発症している病気は、その人の生き方と直結しているからです。

『脈診』では、脈拍や不整脈だけをみているのではなく、肝、心、脾、肺、腎、三焦、胆、小腸、大腸、胃、膀胱、心包等の経絡の状態を調べようと試みたりします。

『舌診』では、全体の色形、質感、苔の付き方などでその人の臓腑の状態や体質をみます。

『腹診』では、腹部の触診では触れるか触れないかくらいの圧でわかるものと、少し圧をかけてわかることがありますが、そのようなことをしながら異常な場所や全体のバランスをみます。腹診は実際の病気との関連も深いので、私の場合は現代医学と中医学的視点の双方でみています

『原穴診』というツボを触ってツボの左右差や異常を確認する方法があります。
ツボの状態は様々で、虚実の反応をみたり左右差を探ることにより、バランスをみます。

原穴診だけでなく、様々なツボにも特徴が表れていることがあります。
脊椎に沿ってツボが並んでいる兪穴は、様々な臓腑の状態を表すことがあり、重要な診断の指針になることがあります。

ある特定の部分にシミが偏っていたり、毛が一部に偏っていたり、皮膚の質感がどうか、熱いか冷たいか、吹き出物がどこにできているか、爪の状態はどうか、体が発する小さい声は非常に微細なものです。
とても聞き取りにくい体の声ではありますが、小さな声を寄せ集めて何とか体の状態を読みとろうとするのが、中医学的な診断です。

そういったものを無視して「◯◯病だからこのツボ」といったものも一定の治療効果はありますが、限度があります。
人それぞれ特徴があり、優先的に改善しなければならないところがあります。
最適だと思われるツボを探し出し、鍼を打ち灸を据え改善させていくのです。
ツボの選択は不思議なもので、ギックリ腰で来た人と風邪で来た人と糖尿病で来た人の治療するツボが全く同じになることもあります。

何が言いたかったのかというと、「ではそういった治療の基盤となる考え方はどうなっているの?」と言う答えに対しての簡単な答えはなく、陰陽五行説などの哲学の説明から始めなければならないのです。
東洋医学、引いてはホリスティック医学の理解を深めるということは、非常に広範囲に渡る説明が必要になりますが、理解を深めていくと人生そのものが豊かになる、と言っても過言ではありません。
鍼灸師の方もたまに見てくれているので、その方達が見ても勉強になるような内容にしたいと思っています。
では、次回からそれらの基本的な説明から始めていきたいと思います。

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